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members’ column vol.3
text : 奥村紀美

Recasting Club メンバーのコラムをご紹介します。
「出会い」をテーマに募集しました。

「わたしとアートの出会い= わたしとGoghの出会い」 奥村紀美

3歳のある時、突如「なごやにごっほをみにいきたい!」と言った。生家は三重県津市。当時、家に車はなく、両親に連れられ、公共交通機関を使って旧愛知県文化会館(現愛知県美術館)にゴッホの展覧会を観に行った。たぶんテレビのニュースかなにかで知ったのだろうけれど、こども心に  これはなにかとってもよいモノで、みにいくべきものだ  という勘がはたらいたのだと思う。
自宅から最寄りの津駅までもバスで15分くらい。この時は幼子を連れていく親の気遣いでタクシーに乗り、津駅からは近鉄線の特別急行列車で名古屋に向かう。虚弱だった自分は車でも電車でも3分ともたずに乗り物酔いした。この時もご多分にもれず、列車の中で嘔吐して、抱っこしてもらっていた父の背広も、自分の服も汚して顔色は白いのを通り越して真っ青になった。
それでも会場にたどり着き、抱っこしてもらった肩ごしに会場を一通り見て回った後、もう一度自力でぐるっとひと回りして「わたしのいちばんすきなえはこれ!」と指さした。この日のことは繰り返し家族に聞かされたということもあるけれど、自分の記憶も鮮明で、よく憶えている。けれど残念なことにこの時のゴッホの印象は全体として「あまりすてきじゃないなぁ、、、」というマイナスなものだった。若い頃の暗い色合いの作品が多い展覧会だったのかもしれない。

その後ずいぶん時が経ち、中学か高校時代のころ、地元の書店でゴッホの書簡集の岩波文庫本をみつけた。ほとんどが弟・テオに宛てた手紙。それらは常に新しい作品の構想について語り、描くことの喜びに満ちた文言だった。その言葉は明るく、希望に満ちあふれていた。それからはゴッホを扱った展覧会であれば、兵庫県立大学美術館へでも、安田火災東郷青児美術館へでも出かけるようになった。そして次第に厚塗りの激しいタッチやパレットに絵の具をのせて混ぜ合わせずに描かれた、耀く色彩に魅了されるようになった。

さらにその後何年か経ち、名古屋市美術館のコレクションガイドボランティアに応募、等しく様々な年代の人を採用したいという美術館の意図に適って三重から通った。さらに常設展作品だけではなく、ゴッホとミレー、バルビゾン派の画家たちに焦点を当てた企画展で解説ガイドするチャンスに恵まれお客様と一緒にその魅力を見て回る幸せな体験をさせていただいた。この時のボランティア体験が、世界中から集まったエコール・ド・パリの美術、そして愛知県中心の東海地区の郷土の美術、今ではもうクラッシックとも言える現代アート、そして日本の美術館のコレクションとしてはレアなメキシコの壁画運動作品に出会うきっかけに。アートってなに? なぜこれがアートなの?という問いかけから始まり、当時の美術館学芸員氏のコレクション解説会に度々出かけ、美術について全く無知だった自分の慧眼を開いてくれた。

これがわたしとアートとの出会いです。

UPDATE : 2020.05.19
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members’ column vol.3

奥村紀美(おくむらきみ)

ニックネーム   たまご。
皇學館大学博士前期課程国文学専攻修了。名古屋芸術大学大学院美術研究課造形専攻修了。愛知県和紙のふるさと学芸員を経て小原ペーパーアート・ファンクラブとして和紙とアートを普及する活動を続けている。創作パフォーム〈青い金魚〉会員。リキャスティングクラブ会員。あいちトリエンナーレ2019に会場運営ボランティアとして活動し、とよトリ隊の活動に参加。WE  LOVE とよたフェスタ実行委員。2015 カラフルオリジナル和紙カードを作ろう! 藤井達吉の継色紙をイメージしてオリジナル和紙バッグを作ろう!(文化フォーラム春日井)2016-2017 ファーストくらすとよたー中日ビルタウン、長久手、岡崎ハウジングガーデン、とよロックetc…で豊田市の魅力をPR。2018、2019 HYBRID BUNKASAII ほか各種イベント、講座にワークショップを出展、小原和紙についての講師をつとめる。

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